【防災の日】政府の被害想定は甘すぎる!! 迫り来る「首都直下地震」、
発生直後の地獄絵図とは!?
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管理者の気になる地震予知の情報を最下段にお伝えします。↓
百瀬直也氏
9月1日は「防災の日」。この日から1週間は防災週間として、さまざまな
防災関連の催しがある。1923年(大正12年)9月1日、11時58分に
発生した関東大震災にちなんだものだ。相模湾北西沖80kmを震源と
するM7.9の地震は、神奈川県・東京府を中心に、日本災害史上最大級
の被害をもたらした。関東大震災は海溝型地震だったが、もしも同規模の
直下型地震が現在の首都圏を襲えば、より甚大な被害が出るものと
予想される。そして現在、南関東でM7クラスの地震が発生する確率は、
30年以内に70%とされ、過去の被害記録を塗り替える大災害が、いつ
起きても不思議ではない状況にあるのだ。
中央防災会議の首都直下地震対策検討ワーキンググループによると、
首都直下地震の推定死者数は、最悪のパターンで2万3千人。だが、
これは被害を建物倒壊と火災のみとした場合の数字だというから、
鵜呑みにすることはできない。このように不完全な試算となっているのは、
近代化した首都が直下型地震に襲われた前例がなく、被害想定を算出
するデータがないということも一因として挙げられる。そのため、実際の
被害は想定の数倍になるとの指摘もあるほどだ。今回は、いつか来る“
その時”に、「想定外」の事態も含めて、どのような問題が発生するかを
考えてみたい。
■1,000度を超える「火災旋風」
キャンベラ北部の山火事で発生した火災旋風(2003年)
画像は「Wikipedia」より引用 関東大震災は、ちょうど昼食の時間帯
だったこともあり、全体の犠牲者約10万人のうちの9割が火災によって
命を落とした。次の首都直下地震でも、どれだけ火災による被害が
出るかは、やはり地震発生の時間帯に左右されるが、最も多い死因は
火災になるものと想定されている。地震後の火災で特に恐ろしいのは、
「火災旋風」だ。これは、都市部での広域にわたる火災や山火事に伴い、
炎を伴う旋風が発生し、さらに大きな被害をもたらす現象だ。旋風の
温度は1,000度を超えるというが、その発生原因はよくわかっていない。
関東大震災では、東京の100カ所、横浜の30カ所で火災旋風が発生
している。墨田区の旧陸軍被服廠跡(ひふくしょうあと)では、避難して
いた約3万8千人が火災旋風で亡くなった。これは実に火災による死者の
約3分の1にものぼる数だが、消防庁消防研究センターの篠原雅彦主任
研究官は、「首都直下地震の時にも起きないとする理由は見当たらない」
(『AERA』、2013年3月25日号)と語っている。
都防災会議が1979年にまとめた「大震火災時における火災旋風の
研究」という資料では、「数千あるいは数万の避難民を収容する現行
避難場所は、果たして火災旋風に対しても安全なのであろうか。これは
大地震対策上避けて通れない問題である」とし、都が指定している
約200カ所の避難場所のうち、27カ所は火災旋風の観点から厳しい
環境下にあるとしている。報告書に明記された7カ所は、すべて23区内
にある避難所であり、計画ではそこに約31万人が避難することになって
いるのだ。ひとたび火災旋風が起きれば、関東大震災の時と同様に
数万人規模の死者が出ることも覚悟しなければならないだろう。
■デマによる被害拡大
大震災が発生すれば、流言(デマ)による社会の混乱も懸念される。
特に現代のネット社会では、噂は一気に広まる。関東大震災の時には、
流言の中に「朝鮮人が武器をもって暴動を起こしている」というものもあり、
そのために多くの朝鮮人が殺された。この問題に詳しく、『関東大震災時
の朝鮮人虐殺とその後 ― 虐殺の国家責任と民衆責任』(創史社)と
いう著書もある歴史家、立教大学名誉教授の山田昭次氏は、「(朝鮮人
虐殺は)ありました。あったというより、他ありません。実に残酷な殺し方を
したんですよね。特に女性に対しては、陰部をわざと刺すとか、妊婦だと
腹を裂いて、中の胎児を引き出すとかね」(シノドス、「関東大震災における
朝鮮人虐殺――なぜ流言は広まり、虐殺に繋がっていったのか」)と
語っている。現在、SNSなどで拡散されるさまざまな根拠のないデマを
見ていると、それが被害をさらに拡大させる恐れもあるのではないかと
思えてくる。
■建物の倒壊やエレベーターの停止
画像は「阪神・淡路大震災『1・17の記録』」より引用
次に、現代都市である東京が初めて直面する事態について考えて
みたい。まずは、建物の倒壊による被害だ。東日本大震災では、三陸
地方は固い地盤の土地が多かったために、M9.0という規模にしては
建物倒壊の被害が比較的少なかった。だが、南関東ではそうは行か
ない。特に東京の下町は「豆腐のように地盤が柔らかい」と言われて
いる。過去の記事で指摘したように、阪神淡路大震災で甚大な建物
損壊の被害が出た神戸と同様、非常に軟弱な地盤の上に都市が
できているのだ。「環境考古学」の研究に携わり地盤の問題に詳しい
立命館大学教授の高橋学氏は、「神戸は全体的に見ればまだ地盤が
良い方で、名古屋や東京の方がもっと悪い」(『巨大地震の後に襲って
きたこと!』、高嶋哲夫 編、宝島社)と語る。ビルについては、地下深く
まで地盤が強化されている高層ビルよりも、むしろ中層ビルが危険だと
いう。
ところが倒壊を免れた高層ビルでも、別の危険が待ち受けている。
そのひとつは、エレベーターの問題だ。5月30日に発生した小笠原諸島
西方沖のM8.1、最大震度5強の地震の際、高層ビルやマンションで
停止したエレベーターは、関東を中心に1万3千台にも上ったという。
首都直下地震では、停電によるエレベーター停止で、数万人が閉じ
込められると考えられているが、はるか遠い小笠原を震源とする地震で
もこれだけのエレベーターが止まったということは、想定以上の大きな
被害も考えられるのではないか。停電が何日も復旧せず、閉じ込められた
ままになれば、多数の人々に健康被害などが出る恐れもあるだろう。
■交通網の壊滅
電車、地下鉄、モノレールといった交通機関はどうなるだろうか。
首都直下地震では、特に通勤ラッシュ時を直撃した場合、大惨事に
なることが考えられる。首都圏の鉄道利用者は1日4,000万人にも
上るのだ。阪神淡路大震災は早朝であり、新幹線は始発前だったが、
その線路はグニャグニャに曲がって変形した。首都圏には網の目の
ように鉄道網が張り巡らされていて、大震災が発生した場合の被害は
完全に未経験の領域に入る。平日の朝に大地震が発生した場合、
首都圏では数千人が乗車した満員電車が数百本も走行している。
2012年4月19日放送の『奇跡体験! アンビリーバボー』(フジテレビ系)
で、「緊急スペシャル 首都圏を震度7の巨大地震が襲う! 首都直下
地震ミュレーション」という企画があったが、災害危機管理アドバイザーの
和田隆昌氏は、震度6で列車の23.1%が、震度7で92.9%が脱線すると
語っている。この値に多少の異論があるとしても、状況によっては鉄道
事故による死者数だけでも国の被害想定を超えてしまうこともあるの
ではないかと思えてくる。
東京都作成の首都直下地震による被害想定の資料では、都内の
道路・鉄道の橋桁は耐震化が進んでおり、落橋や橋の変形などの
大被害はほとんど発生しないとある。だが、本当にそうなのだろうか。
著者と知り合いの建設エンジニアは、「首都高の都心部分は地盤の
弱い河川の上を走っているため、地震の規模によっては全壊する
ことも考えられる」と語っている。やはりここでも「想定外」の事態が
待ち受けているように思えてくるのだ。
大地震が起きた後の避難時、地下鉄や地下街では、出口が
塞がれたら外界への脱出が困難になる。老巧化したビルが横倒しに
なり、幹線道路を塞げばどうなるか。道路の陥没や電柱の倒壊も
各所で起きれば、道路など使い物にならなくなる。交通網は寸断し、
救急車や消防車などの緊急車両も身動きできず、現場に辿り着け
なくなるのだ。そうなれば、たとえ食事時の地震ではなくても、
関東大震災以上の被害が発生しても不思議ではない。
.■経済崩壊、首都機能マヒ、政治は大混乱
今後起こり得る首都直下地震は、IT化が進んだ時代における
初めての大震災となることも忘れてはならない。いままで予想もして
いなかった事態は、IT関連の分野でも起きるのではないか。筆者は
ソフトウエア開発歴25年の元SEだが、この分野で十分な
シミュレーションがされているとは思えないのだ。多くの企業は
地下などに自家発電設備を有しているが、地震によりそれ事態が
機能しなくなれば、どうなるか? たとえば停電が1週間続くとして、
自家発電のための燃料を確保できるかどうかも問題となる。現在の
高度情報化社会では、企業のサーバや個人のPCが動作しなければ、
企業活動はほぼ成り立たない。経済は崩壊、東京の首都機能は
マヒし、日本の政治は大混乱に陥るだろう。
こうして見てきたように、災害という観点から見た場合、とにかく
都心は危険だらけだ。関東地方は、3つのプレート境界が重なり
合った上に位置するため、世界でもっとも地震が多い地域のひとつと
なっている。そのように危険な土地が首都であれば、いつか大災害に
見舞われる宿命にあるといえるだろう。特に日本人は、強い「正常性
バイアス」を持っていると言われる。これは心理学用語で、自分に
とって都合の悪い事実を無視したり、過小評価したりしてしまう人間の
特性のことだが、目前に大災害の恐怖が待ち受けているのに、「まさか
こんなことは起こるはずがない」と現実を否定することによって、十分な
防災対策をせず命を落としてしまうこともあり得る。
ただし、大地震が怖いからといって、平日の朝夕に通勤電車に
乗らないわけにはいかない。車で通勤しても、首都高が倒壊する
恐れもある。自宅にいた場合でも、軟弱な地盤の上に建てられた家は
倒壊して命を落とすかもしれない。物事には優先順位があるが、
食料の備蓄や帰宅困難の問題よりも、まず自分や家族の「命が助かる」
ことを最優先に考えるべきだろう。家族全員が死んでしまったら、食料の
備蓄も意味が無い。東京都のハザードマップを見ると、液状化、建物
倒壊、密集地での火災などさまざまな観点から、特に23区の東半分の
危険度が高くなっている。震災で生き残るためには、まず自宅の耐震
対策や地盤強化に力を入れ、それも難しければ、より安全な土地へ
引っ越すなどの検討も重要になってくるのではないだろうか。
百瀬直也(ももせ・なおや)
超常現象研究家、地震前兆研究家、ライター。25年のソフトウエア開発歴を生かしIT技術やデータ重視の調査研究が得意。ブログ:『探求三昧』、Web:『沙龍家』、Twitter:@noya_momose
※百瀬氏が企画・執筆したコンビニムック『2015予言 戦慄の未来記』(ダイアプレス)、大好評発売中!
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