2012年7月からアジア全土が雨季に入っているが、異常気象の中での雨季だから極端な
雨があちこちで大災害を引き起こしている。予測できていたものとは言え、その被害は尋常
ではない。
雨季に入って真っ先に大洪水に見舞われたのは、インドのアッサム州である。
ほとんど全土が水に覆われて、アッサム州は見渡す限り海のようになってしまった。それが
隣のバングラデシュにまで波及した。
ちょうどその頃はタイもまた激しい雨に降られていて、バンコクの一部が浸水する騒ぎに
なっているが、多くの日本人はそれどころではなかった。
九州が未曾有の豪雨で「沈没」しており、長らくその地に住む老人に「今まで生きてきて、
こんな豪雨は初めて見た」と言わしめた事態に陥っていたからだ。
一方で大豪雨、一方で大干魃が続く
そして、次の水害は北京に襲いかかっている。九州を襲いかかった豪雨が「こんなのは
初めてだ」と言われたのと同じく、中国でもこの豪雨を「観測史上初の巨大豪雨」だと報じた。
10時間に降水量が200ミリ以上に達しており、2012年7月21日の昼から夕方にかけて、
北京市内は一気に水没、洪水が道路や建物を次々と沈めていき、交通も大混乱、約900
万人が影響を受けるという最悪の事態に陥ってしまった。
大雨警報は一日に5度も発令され、溺死、落雷、感電で多数が死亡、数百台の車も
水没し、国際空港では525便が遅延・欠航となった。
この洪水騒ぎで、洪水予防対策の対応に不備があったとして、市長の首が飛んでいる。
問題は、これで終わったわけではない。さらにこれからも北京では豪雨が降る可能性もある。
インド・アッサム州、日本の九州地区、中国の北京が、大豪雨に見舞われているこの最中
、実はアメリカでは大干魃・大乾燥に見舞われており、トウモロコシや小麦の生産が大打撃
を受けている。
一方で大豪雨、一方で大干魃が続くと、全世界の穀倉地帯がダメージを受けることになる
ので、今年後半からは食料品の大高騰が起きる可能性も指摘されている。
実はインドは洪水と干魃が同時に来ている。アッサム州では洪水だったが、他の地域は
雨が降らずに干魃になっているのだ。
不景気の中で、食料価格が全世界で大高騰する。すなわちスタグフレーションが起きると
言われている。スタグフレーションになると、世界中の貧困層がすぐに生活混乱に陥る。
するとどうなるのかは火を見るよりも明らかだ。全世界で、デモ・暴動・略奪・破壊が湧き
上がるのである。世界規模の災害は、人間社会に暴力をもたらす。

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水没してしまった北京 |
近年は大地震と大洪水の連続だ
ここ最近、暴力的な豪雨、豪雪、干魃が次々と世界を覆い尽くすようになっている。
大豪雨も、大豪雪も、大寒波も、もはや日常になったようにも見える。
たとえば、2010年12月から2011年1月、ヨーロッパでは異様なまでの大寒波が到来
していた。
ヨーロッパ各国で降りしきる雪のために渋滞と事故が続出、企業活動は停止し、学校も
休校する騒ぎになっていた。
ロンドンのヒースロー航空は2010年12月21日に3分の2以上の便が欠航して、国際
列車ユーロスターも徐行運転を余儀なくされてダイヤが大幅に乱れた。ドイツも1,000
便以上が欠航した。
パリのシャルル・ドゴール空港でも2010年12月24日に400便が欠航し、第二ターミナル
では積雪が60センチを越えて2,000人が退去させられる騒ぎとなっていた。
空港で足止めされた乗客が数時間も待たされて激しい不満が拡大、また一時的に
飛行機に載せられても出発できずに何時間も機内に閉じ込められるケースも出て
問題になっていたのである。
EUが空港の管理体制について、「各地の混乱に深刻な懸念を持っている」と声明を
発表する事態にまで追い込まれた。
それから2011年1月にかけて一時的に気温は戻ったが、中旬にもなると、また
氷点下に落ちていった。
しかし、ふと2010年夏を振り返ると、その時は「灼熱地獄」だったことは、まだ人々の
記憶に新しい。
2010年の世界の平均気温は1891年以降、過去2番目に高い値だったと言われている。
日本でも、2010年の6月から8月は過去最高の気温、ロシアでもモスクワで40度を
越す猛暑だった。
特にロシアでは、熱射病や水に溺れて死ぬ人が数千人単位で出てきて、乾燥した
草木に火がついて山が600ヶ所も燃えた。
2010年は酷暑であり、酷寒であったのだ。自然環境が大きな振幅を見せるように
なっている。
そして、2011年は大地震と大洪水に明け暮れた年だ。
1月には欧米の大豪雪とオーストラリアの大洪水、2月にはアメリカ中西部の大豪雪、
3月には世界を震撼させた東日本大震災。
それから、タイ南部の大洪水、4月に入るとコロンビアで大豪雨・大洪水、5月には中国
で最悪の旱魃、6月にはインドで大洪水。
7月には韓国で大洪水、そして10月に入ってからもトルコ大地震、そしてタイの未曾有
の大洪水、11月にも同じくトルコで大地震。
2011年は、これだけの巨大災害が「毎月」起きていたのだ。
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2011年、世界を震撼させたタイ大洪水 |
地球がおかしくなっている
地球全体が温暖な気候を維持できなくなっていて、極端な猛威が地球にかぶさってきている。
エルニーニョ現象だ、地球温暖化だ、太陽の電磁波だ、小氷河期だと、様々な説が言われ
ている。
実は太陽のほうも異常が起きているようだ。
2008年には太陽黒点がゼロになったかと思うと、2011年には異様なまでに黒点が増えて
11月時点で200個を超えてしまった。
黒点は磁場によって生み出されている。当然、地球の磁場にも影響があり、それが環境にも
影響を及ぼす。
そういった様々なファクターが影響しあって、地球に影響を及ぼしているので、どれが
現在の気候変動の要因なのかは明確には答えられない。
しかし、私たちは「問題が起きている」ことだけは知っている。地球がおかしくなっている。
これと並行して、自然破壊もとまらない。アマゾンの森林消失はスピードが落ちてきた
とも言われているが、それでも6,451平方キロメートルが消失している。
すでにアマゾンでは雨が降らずに干魃(かんばつ)が見られるようにもなった。また、
アマゾン川の支流のひとつネグロ川がここ100年で最悪の水位低下を見せるようになった。
多種多様な生物を育んでいたアマゾンが干からびて砂漠化していく上に、さらなる伐採が
計画されている。
ブラジル政府はアマゾンの不法伐採を防ぐために伐採権をオークションにかけているが、
その伐採分は、100万ヘクタールだという。
これが意味するのは管理された伐採が続くということであり、伐採をしないということではない。

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伐採され続け、もはや回復不能になったジャングルの姿 |
来るべきサバイバル時代の前触れ
空気が売り物になる時代にまで到達していくのかどうかは分からない。
しかし、2011年11月には人間の人口は70億人を超えて、これも単なる通過点でしかなく、
人類は文明を維持するために猛烈な勢いで地球を破壊していく。
2010年の灼熱の夏と厳寒、2011年の大地震と大洪水を見ながら、もうすでに「何か
過酷なもの」がやってきているのではないかという気にもなる。
自然環境が大きな振幅を見せるというのは、それだけ人間にとって生きにくい環境に
なっているということでもある。
当然、食糧危機もやってくる。
2012年7月にアメリカの山火事が起きたら、その瞬間にトウモロコシも小麦もコモディティ
市場で価格が暴騰している。今後は食糧の奪い合いになる可能性もある。
食糧危機は「予告されている危機」なのだ。今すぐやって来ないが、いずれやって来る危機だ。
いずれやってくるのであれば、必死になって備えていかなければならない。備えるというのは
、国で言えば、自給率を必死になって上げていくということである。
農業を必死になって保護して自給率を100%以上にして、剰余分を輸出に回すというのが
健全なる社会なのである。
それができない国はどうなるのか。きたるべき食糧危機の際には、国民が飢餓にさらされる。
自国の農業をどれだけ発展できるかが、今後の国家の重要事項となる。
自給率が上げられない国家は、数十年後には消滅するほどのインパクトになって襲いかかる。
アメリカの山火事、九州の豪雨、北京水没は、これからも続々とやってくる巨大な異常災害
の一コマに過ぎない。
だとすれば、異常気象を告げる多くのニュースは、来るべきサバイバル時代の前触れだと
考えたほうがいい。
あなたは、突如として食糧がなくなったとき、乗り切るための備蓄や、自給自足の体制を
持っているだろうか?
日本の自給率が40%だと政府が言うのであれば、非常に単純に言うと60%の日本人が
食糧危機が起きたときに死ぬということだ。
大災害がやってきたとき、日本政府が助けてくれないのは、福島第一原発の爆発事故を
見ても分かる。自分の身は自分で守らなければならないのである。